この記事の概要
- SPXLが気になっている人、保有している人はこの内容について知っておくべし
- レバレッジETFの仕組み(どうやってレバレッジをかけているか)について整理
- レバレッジETFの特徴を整理
Hello!! リカルドです
皆さんはレバレッジETFには投資をしていますでしょうか。
筆者は先日、レバレッジETFのSPXL(Direxion デイリー S&P500 ブル3倍ETF)を購入しました。
![リカルド](https://i0.wp.com/ricaldoblog.com/wp-content/uploads/2021/03/IMG_0502-2.png?resize=150%2C150&ssl=1)
6月になってSPXLを購入、レバレッジETFホルダーになりました
今回はレバレッジETFの保有にあたって、
- レバレッジ商品はどういう仕組みでレバレッジがかかっているのか
→先物取引を使って2倍、3倍の額面を保有することで値動きを倍にしている。 - レバレッジETFにはどのような特徴があるか(保有にあたって知っておくべきこと)
ということについて自分の頭の整理も兼ねて記事を書きました。
特にレバレッジ型のETFは値動きがかなり大きいハイリスク商品なので、
レバレッジETFがどのように作られているかを知らずに保有することはおすすめしません。
レバレッジETFはどのような仕組みで運用されているのか、どんな注意点があるのか、
確認していきましょう。
※今回の記事では特定の投資商品を推奨するものではありません。
投資の判断は自己責任でお願いします。
レバレッジETFとは
何がレバレッジなのか?ーリターンが倍になるのではない、日々の値動きが倍になるのだー
レバレッジETFは、もとになる指標に対して日々の値動きが2倍、3倍になります。
リターンが2倍、3倍になるわけではないので、
その点は基本として理解しておかなければいけません。
また、リターンが-1倍、-2倍など指標と逆の値動きをするように
設計されているETFはインバースと呼ばれます。
値動きのイメージとしてはこんな感じ。
どちらもDay0の価格を100とした場合のイメージです。
![](https://i0.wp.com/ricaldoblog.com/wp-content/uploads/2021/06/image-8.png?resize=458%2C147&ssl=1)
今回筆者が購入したSPXLは、S&P500の3倍の値動きを目指す運用をするETFですが、他には
- TQQQ:Nasdaq指数の3倍レバレッジ
- UDOW:ダウ・ジョーンズ30指数の3倍レバレッジ
- SPXS:S&P500指数の-3倍レバレッジ
などがあります。
もちろん、国内にもレバレッジETFはあります。
- 上場インデックスファンド日経レバレッジ指数(1358)
- ダイワ上場投信ーTOPIXレバレッジ(2倍)指数
などです。
![](https://i0.wp.com/ricaldoblog.com/wp-content/uploads/2021/06/eggplant-1659784_1920.jpg?resize=433%2C287&ssl=1)
あとレバレッジの投資信託としては「レバナス」こと
「大和-iFreeレバレッジ NASDAQ100」や
「大和-iFreeレバレッジ S&P500」も有名ですね。
レバレッジETFの仕組み
レバレッジETFはどのような仕組みを順に解説します。
レバレッジETFは先物をレバレッジを掛けて2倍、3倍の額面を保有することで、
2倍、3倍の値動きを実現しています。
それに加えて、日々の値動きを倍にするために
ETF内で先物の買増・売却をしています。
先ほどの2倍レバレッジを例に1日ずつ順をおっていきます。
Day0
2倍のレバレッジETFなので、
ETFの純資産額に対して2倍の額面の先物を保有します。
(ETFの純資産):(保有する先物の額面)=1:2の状態でスタートです。
![](https://i0.wp.com/ricaldoblog.com/wp-content/uploads/2021/06/204c9f35b2991aa13f0ac2734dea1830.png?resize=1024%2C201&ssl=1)
Day1
指標が10%上昇したとしましょう。
保有する先物の価格200億円が10%上昇することで、20億円のプラスになります。
結果、ETFの純資産額も20億円プラスになるので、
このETFのリターンは100億円に対して20億円。
つまりプラス20%となり、2倍のレバレッジがかかりました。
![](https://i0.wp.com/ricaldoblog.com/wp-content/uploads/2021/06/57fef963c6d213c5fd417fd40066909d.png?resize=1024%2C498&ssl=1)
しかしこの時ETFの純資産額は120億円、
保有する先物の額面は220億円になっています。
1:2になっていないので、このままでは値動きの比が1:2になりません。
ですので、レバレッジETFはこの状態で先物を追加で20億円分購入し
保有する先物の額面が240億円になるようにします。
こうすることで
(ETFの純資産):(保有する先物の額面)=1:2になるので
値動きが1:2の比率で保てるということです。
Day2
今度は指標が10%下落しました。
保有する先物も10%(24億円)下落するのでETFの純資産もマイナス24億円になります。
ちょうど指標の2倍の値動きとなりました。
![](https://i0.wp.com/ricaldoblog.com/wp-content/uploads/2021/06/eaa2fab1ab5b50020ced7258d7c7c0c1.png?resize=1024%2C455&ssl=1)
ここで先ほどと同じく
(ETFの純資産):(保有する先物の額面)=1:2の比率が崩れました。
これを元の1:2に戻すため
先物を24億円売却して保有額面を192億円にします。
Day3
あとは同様です。
元の指標が10%上昇したため値動きは192億円の10%、19.2億円。
これはETFの純資産額からみると20%となるため2倍の値動きが実現しました。
![](https://i0.wp.com/ricaldoblog.com/wp-content/uploads/2021/06/d6ce1dca01757570920b32c1ec98f840.png?resize=1024%2C450&ssl=1)
そして
(ETFの純資産):(保有する先物の額面)=1:2の比率が崩れたので、
先物を19.2億円購入し、比率を1:2に戻します。
この繰り返しで、変動するたびに先物を買い増したり売却したりしながら
常に純資産額の2倍の先物を保有することで、
倍のレバレッジが効くように調整しているというわけです。
![](https://i0.wp.com/ricaldoblog.com/wp-content/uploads/2021/06/067351e8b7d2bff9e2179dcedcb9bd37.png?resize=1024%2C700&ssl=1)
3倍レバレッジの場合は純資産の3倍の額を保有することで
3倍の値動きを実現します。
インバースの場合はこのやり方にショート(空売り)を組み合わせることで
-1倍、-2倍などのレバレッジを実現していますが、
実はやっていること、基本的な仕組みは2倍レバレッジなどと同様です。
レバレッジETFの特徴、リスク
このように運用されているレバレッジETFは概ね次のような特徴、リスクがあります。
これを知らずにレバレッジETFを保有すると
想定がいろいろ狂ってくるので、知っておきましょう。
- 値動きが激しい
- 上昇と下降を繰り返すとパフォーマンスが劣化する(倍にはならない)
- 手数料が高い
値動きが激しい
レバレッジがかかっているので当たり前といえば当たり前です。
S&P500のインデックスファンドのVOOと変動を比べてみると
VOOが債券にみえるくらい、SPXLは変動が大きいです。
もう1回いいますが、これ、比較対象はS&P500のインデックスファンドです。
株式です。
![](https://i0.wp.com/ricaldoblog.com/wp-content/uploads/2021/06/cZc6i0uH.png?resize=1024%2C550&ssl=1)
保有するにはこの値動きに耐えられるメンタリティが必要です。
上昇と下降を繰り返すとパフォーマンスが劣化する(倍にならない)
レバレッジETFは日々の値動きが倍になるように設計されているだけで、
リターンは必ずしも倍にはなりません。
むしろ、上昇と下降を繰り返すと最終的なパフォーマンスは倍未満になります。
先ほどの例(+10%→-10%→+10%と変動)のパフォーマンスを比較してみると、
元の指標はDay0からDay3までで100→108.9と+8.9%になっています。
一方でレバレッジETFの純資産額は100億→115.2億と+15.2%のパフォーマンスです。
![](https://i0.wp.com/ricaldoblog.com/wp-content/uploads/2021/06/8d40a12a81ef616c7279cd706adbdf52.png?resize=738%2C280&ssl=1)
2倍レバレッジがかかっているので
本当は8.9%×2=17.8%のリターンが欲しいところですが、
リターンが2倍未満になっているということです。
このように、レバレッジETFは上昇と下降を繰り返すたびに
パフォーマンスが2倍や3倍の値から離れていってしまうという弱点があります。
また、下落した後に下落前の水準に戻るまでに通常より時間がかかることもあります。
例えば2020年3月のコロナショックの際にはSPXL、VOOいずれもガクっと下落しました。
その後、VOOは2020年の8月中にはだいたい下落前の水準まで戻っていますが、
SPXLが下落前の水準に戻ったのは2021年1月に入ってからでした。
![](https://i0.wp.com/ricaldoblog.com/wp-content/uploads/2021/06/1GJmF0kk.png?resize=1024%2C550&ssl=1)
手数料が高い
ETFにかかる経費率は1%程度かかるものが多く、
一般的なインデックスファンドに比べるとだいぶ高いです。
例えばSPXLの経費率は1.01%です。
(Yahoo Finance)
先ほどのパフォーマンスからこの手数料が引かれるので
トータルのパフォーマンスは一層2倍・3倍の値から乖離することになります。
まとめ
以上、レバレッジETFの仕組みと特徴についてでした。
仕組みのところで解説したとおり、
レバレッジETFは先物を使った複雑な運用が内部でされています。
また、値動きも株式インデックスと比べてもボラティリティが非常に高いので、
中身を理解せず安易に資産を投下するのは危険です。
![](https://i0.wp.com/ricaldoblog.com/wp-content/uploads/2021/06/stock-market-2616931_1920.jpg?resize=1024%2C683&ssl=1)
投資するものの中身を理解するのは投資の基本ですが、
ことレバレッジ商品に関しては、ボラティリティが高い分
なおのこと、中身や特徴について理解した上で投資したいところです。
最大ドローダウン(下落率)がどのくらいなのか、
それだけのマイナスが仮に発生したとしても耐えられる程度に投資は抑えておくべきですし、
他資産や現金を厚めに持つなどのリスクヘッジはした上で投資を検討しましょう。
SPXLの目論見書はこちらからみることができます。
(DIREXION SHARES ETF TRUST 17ページ以降がSPXLについての部分です)
全部英語ですが内容については、また訳しながら記事を書こうと思います。
やっぱレバレッジではなくて普通のインデックスファンドにしよう、
と思った方はこちらの記事も参考にどうぞ。
SBI証券から新しくリリースされた「SBI・Vシリーズ」の投資信託について
比較しています。
ここまで書いてきたとおり、
レバレッジETFはハイリスクで複雑な商品のため
投資に際しては気をつける必要がありますが、
大きなリターンを期待できるものでもあります。
筆者も購入したSPXLは爆増してくれることを期待しながら
コツコツ育てていきたいと思います。
それではまた! Adiós!!
![](https://i0.wp.com/ricaldoblog.com/wp-content/uploads/2021/03/IMG_0502-2.png?resize=100%2C100&ssl=1)
リカルド
都内在住ギリ20代の会社員。社会人1年目、ほぼ貯蓄ゼロから家計管理を始め、5年目で1,000万円の資産形成に成功。学び、資産形成の過程で気づいたことを自分なりの視点で考察して発信します。資産形成を頑張る皆さんと経験や疑問、考える視点を共有したい。自称ガジェットオタ歴10年以上。好きなものはガジェットと旅行(海外18カ国、国内43都道府県)、サッカー。
コメント