【米国株投資】米国の株価下落はいつまで続く?元に戻るには?−過去の暴落を振り返りながら考察−

最近、Twitterで「積み立てNISA」を検索すると予測でこんなワードが。

積み立てNISA損切りとはなかなかパワーワードですが、最近投資を始めた人などは、序盤こそ調子がよかったもののその後一気に状況が変わって含み損、いきなり出鼻を挫かれて心が折れているという状況も想像に難くありません。

特に、上昇相場に乗り遅れまいと一気にまとめて資金を投下していた場合は早速の下落局面に出くわし、ソワソワしてしまうのもムリはありません。

投資を初めて数ヶ月ならなおのことです。

ただ、下落局面で精神的にキツくなる要因として資産が減っていくのは勿論ですが、「いつになったら底打ちするのか分からない」「いつになったら下落前の水準に戻るか分からない」という不安もあります

相場の先行きなので当然ですが、今の米国株価がどこまで相場が落ちていくのか分かりません。

落ちていく途中でも時たま株価が反発して上昇する局面がありますが、これが底打ちなのか騙し上げなのかは後から見てみないとこれまたわかりません。

こうしたことも不安を大きくさせる要因ではないかと思います。

冒頭の「積み立てNISA 損切り」もその真偽や積立をやめることの是非はさておき、そうした不安が個人投資家、特にここ1年以内に投資を始めた人たちの間で広がっていることの表れなのでしょう。

とはいえ、少なくとも筆者個人的には長い目で投資を始めたので、しばらく株価の低迷が続いたとしても積立投資は愚直に続けていきたいと考えています。

同じように考えている皆さんの多少なりとも心の支えになるよう、今回は過去の米国株の暴落局面を振り返り
・どのくらいで底を打ったのか
・暴落前の局面に戻るまでにどのくらいの期間かかったのか

を見ることで、あくまでも目安としてですが、この下落局面がまだまだ続くのかどうかを考えてみたいと思います。

スポンサーリンク

過去の米国株価(S&P500)の下落局面を振り返り

今回は米国株投資といえば、のインデックス”S&P500種指数”を見ていきます。

使ったツールは”Portfolio Visualizer”というサイト。

様々なポートフォリオを対象に過去のパフォーマンスを調べるバックテストやリスク計算などのシミュレーションを走らせることができるサイトです。

ただこのサイト、指数そのものでは検証できなかったのでS&P500種指数に連動する代表的なETF、”SPDR S&P500 ETF Trust” (SPY)を対象にバックテストを実施しました。

そのため結果はSPYが取引開始となった1993年2月以降のものになります。

検証に当たっての条件設定はこんな感じ(英語ですがご容赦)。

主だった条件設定は以下の通りです。

  • 時間軸:月単位
  • 時期:1985年1月〜2022年12月
    (ただしSPYの設定期間により実際のテスト期間は1993年2月〜2022年2月)
  • 期間の最初に10,000ドルを一括投資、追加の積立やリバランス、配当再投資は実施しない
  • ポートフォリオ:SPYに100%
スポンサーリンク

米国株式下落率トップ10(1993年〜)

先述の条件で検証をした結果のドローダウン(下落幅)を、最大下落幅(%)順にトップ10を抽出したものが以下です。

順位下落開始
の時期:A
底を打った
時期:B
下落から底までの
期間:A~B
元の水準に戻った
時期:C
底から元の水準に
戻るまでの期間:B~C
トータルの
下落期間:A~C
最大の下落率
12007/112009/21年4ヶ月2013/54年1ヶ月5年5ヶ月-52.20%
22000/92002/92年1ヶ月2007/54年8ヶ月6年9ヶ月-46.31%
32020/12020/33ヶ月2020/74ヶ月7ヶ月-19.92%
41998/71998/82ヶ月1998/113ヶ月5ヶ月-15.28%
52018/102018/123ヶ月2019/44ヶ月7ヶ月-14.03%
62015/62015/94ヶ月2016/710ヶ月1年2ヶ月 -9.24%
72022/1 -8.07%
81994/21994/75ヶ月1995/28ヶ月1年1ヶ月 -7.78%
92018/22018/32ヶ月2018/85ヶ月7ヶ月 -6.65%
102020/92020/102ヶ月2020/111ヶ月3ヶ月 -6.52%
平均6.7ヶ月15.6ヶ月22.2ヶ月-19.77%

(Portfolio Visualizer Backtest Portfolio Asset Allocation での検証結果を元に筆者作成)

例えば下落率が最も大きかったのは1 にある通り、2007年11月〜2009年2月の1年4ヶ月間で高値から-52.20%下落しました。

いわゆる「リーマン・ショック」です。

ちなみに英語ではFinancial CrisisとかSubprime Crisisとか言うらしいです。
”Lehman Shock”と言っても伝わらないので気をつけましょう。

この下落が2009年2月に底をつけてから2007年11月の水準に戻ったのは2013年5月、4年1ヶ月の期間を要しました。

2007年11月から下落が始まり元の水準にもどった2013年5月まで、トータルで5年5ヶ月かかったことになります。

<検証と考察>下落は続くよどこまでも/明けない夜はない

スポンサーリンク

検証結果を眺めて概ねつかめる傾向としては以下の通りでしょうか。

  • 底打ちまでは2〜4ヶ月程度かかったケースが大半で、6ヶ月〜1年程度の期間のものはない
    (それを超えるものは1年〜2年の長期に亘って下落が続くケースのみ)
  • 底打ちまでの期間よりも元の水準に戻る期間の方が長い
    (ガツンと下げて、ゆっくり戻る)

サンプル数が少ないので何とも言い難いものではありますが、あくまで参考です。

現在われわれが直面している下落は、下落率でみると暫定で7位。

今のところは3ヶ月目に突入していますので、この辺りで底打ちすればかなり短期間で底打ちをした部類に入ることになります。

一方で、過去は元の水準に戻るのに半年程度はかかっていることをみると、2022年末までに年初の水準に戻ればまあいいか、というような心持ちでいるのが良いかもしれません。

もしくは、まだまだ下落が続いたことも過去にはありましたので、この覚悟もしておいたほうがよいでしょう

特に2位の下落、いわゆるドットコムバブル崩壊ですが、これは約2年かかって46%下落たところでようやく底打ち。

そして元の水準に戻るのには4年8ヶ月、最高値を更新するまでなんと7年弱もかかっています。
(しかもその半年後から、また5年以上の長期にわたる低迷に入るという地獄)

さすがに当時自分が投資をやっていたら心が折れていたかもしれないとは思いますね…

今回の下落はこれより短いかもしれないし、これよりも深く長い下落になるかもしれません。

それはあとになって振り返って初めて分かるものですが、こういった状況になるかもしれないことは覚悟しておいて損はないと思います。

スポンサーリンク

まとめ

今回は過去の下落を振り返って、現在われわれが直面している下落局面と比較をしてみました。

もちろん、今回のバックテストは「過去どうだったのか」を見たものですので今回の下落がどうか、将来がわかるものではありません。

それに今回検証したような何ヶ月くらい過去に続いたかというのはあくまで結果、要因はその時のマクロ環境、ファンダメンタルズによるものが大きいです。

ですが、過去には数年間にわたって米国の株価が低迷した時期もありましたので、それを知らないで底の見えない下落を見ているのと、数年間の低迷期になる”かもしれない”と多少なりとも知っているのとでは心の持ちようにも違いが出てくるのではないかと思います

マーケットタイミングを図りたい場合は、引き続きウクライナ情勢やインフレ率、これらを踏まえたFRBの金融政策動向などを注視していく必要があるでしょう。

株価に大きな影響を与えそうな要因が盛りだくさんなのでなかなか見通しがたてにくいです。

一方、淡々と積み立てを継続していく方は、下落は買い時と前向きにとらえてコツコツ淡々と入金を続けていくしかありませんね。
上がっても下がってもコツコツ入金。これに尽きます。

投資の目的は人それぞれですが、もし長期的な目線で投資を始めたのであれば、最初の数年で心が折れてやめてしまうのはもったいない。
どうしたら長く投資を続けていくことができるか、過去に学び参考にしていきましょう。

今回の記事がその役に立てば嬉しいです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました