この記事の内容
- これから財形貯蓄を始めようか考えている人に。
⇛財形貯蓄の実際の積立実績を書きました。 - 財形貯蓄をしているが、ネット銀行などに乗り換えようか考えている人に。
⇛満期まで積立てた場合、解約して乗り換えた場合で金額シミュレーションしました。 - 筆者の場合、途中で手数料を払ってでも解約して預け替えた方が得でした。
皆さん、財形貯蓄制度は使っていますか?
この時期(4月)、新入社員の方は会社の福利厚生制度として、財形貯蓄の紹介をされている方もいるのではないでしょうか。
既に財形貯蓄を使って貯金をしている方、これから始めようか考えている方、辞めようか迷っている方、色々いるかと思います。
筆者も入社以来、会社の一般財形貯蓄制度を使って貯金していたのですが、先日解約しました。
財形貯蓄にお金を入れているより、現在口座を持っている楽天銀行に置いておいた方が良い金利でお金を持っておけるかな、と思ったためです。
とはいえ、財形貯蓄は途中で解約すると解約手数料を取られてしまい、受け取れる金額が減ってしまいます。
これもあって、ネット銀行への乗り換えを迷っている人も多いのではないでしょうか。
今回は、「そのまま満期まで積立てを続けていた場合」と「途中で解約して乗り換えた場合(今回の筆者のパターン)」で実際の受け取り金額をシミュレーションしました。
タイトルの通り、結論としてはほとんどの場合で「さっさと預け替えた方が得」ですが、金利条件などから詳細の金額をシミュレーションしてみたので、財形貯蓄の活用を考える際の参考にしてもらえればと思います。
財形貯蓄の預け替えを検討
筆者は現在の会社に入社以来、会社にあった一般財形貯蓄制度を利用していました。
少額ではありながら「なかったこと貯金」のようにして貯金をしていたのですが、昨年、投資デビューを機に楽天銀行の口座を開設しました。
楽天銀行は、楽天証券と口座を紐付けする「マネーブリッジ」を使うと普通預金の金利が年0.1%になります。
財形貯蓄よりもずっと金利が良いので、乗り換えをしようと思ったという訳です。
ですが、財形貯蓄は定期預金のようなもので満期前に解約すると中途解約手数料がかかり、積立ててきた利息が失われてしまいます。
では、満期まで財形貯蓄を続けてから楽天銀行に乗り換えるのが良いのか、解約手数料を払ってでもさっさと解約して預けかえた方が得なのか。
筆者は細かいシミュレーションをする前にざっくり勘定で預け替えを判断したのですが、今回はその金額を詳細にシミュレーションをしてみます。
財形貯蓄を解約
積立て金額と期間
まずは筆者が積立てをしてきた一般財形貯蓄の各条件の整理です。
会社の福利厚生制度の一環としてあったものを使っていました。
- 金融機関:三井住友信託銀行
- 満期:7年
- 金利:年0.015% (複利)
- 積立金額:1万円/月
賞与時には3万円/回
賞与は年2回だったので、18万円/年の積立額です。 - 積立期間:4年11ヶ月
積立てを解約した結果
中途解約した結果です。
中途解約通知書の中身です。
「金銭信託」の利率の表示が0.003%になっているのですが、これが何かイマイチよくわかりませんでした。
(0.003%で計算しても元本がこの金額にならない)
中途解約時の状況
- 積立金額(元本):86万円…①
- 積立期間の利息:211円+10円=221円 (10円は当年分の月割計算と思われる) …②
- 払出し解約手数料:220円…③
- 当年利息分への税金:1円…④
以上、〆て①+②ー③ー④=860,000円
結果的には、積立期間で受け取れていた利子分が全て解約手数料として消え、元本だけになって返ってきた、という形です。
金利ゼロ。
ある意味究極の元本保証。
受け取り金額をシミュレーションー財形満期とネット銀行へ預け替えー
さて、財形貯蓄を途中解約した結果、手数料により利息がゼロになりました。
では、満期までこのまま積立てていた方が良かったのか、それとも途中解約手数料を払ってでも今回のように楽天銀行に預けかえた方が良いのか、最終的な受取金額を試算していきます。
満期(7年)まで積立てを継続していた場合
筆者が使っていた一般財形貯蓄を満期(7年)まで積立てていた場合、いくらになったのでしょうか。
今回は金融広報中央委員会のHP「知るぽると」にシミュレーターがあり、これを使わせて頂きました。
金融広報中央委員会「知るぽると」 積立て合計額シミュレーション
試算結果
- 条件
- 積立額:10,000円、ボーナス積立て30,000円(年2回)
- 利率:年0.015% (複利)
- 積立期間:7年
- 結果
- 積立て合計額:1,260,463円
筆者の場合
次に、今回の筆者のケースを試算します。
- 財形貯蓄で4年11ヶ月、その後、楽天銀行に預け替え
- 預け替え後も、これまで財形貯蓄に貯金していたのと同額を積立てていくと仮定
- 楽天銀行には既に入金済みの現金があるが、今回は財形貯蓄で積立てていた額のみ抽出して試算する
試算結果
- 条件
- 積立額:10,000円、ボーナス積立て30,000円(年2回)
- 積立て期間と利率:
- 0〜4年11ヶ月目…年0.015%
預け替え時に中途解約手数料を差し引く。 - 5年0ヶ月〜7年目…楽天銀行 年0.1%
(利息は半年に1回入金あり)
- 0〜4年11ヶ月目…年0.015%
- 結果
- 積立て合計金額:1,261,824円
途中で条件が変わって複雑だったので、Excelを使って手計算しました(気合)。
楽天銀行の利息入金のシステム(半年に1回)と、利息にかかる税金20.315%も可能な限り再現。
楽天銀行は毎日日割りの利率でその日の残高をかけ、半年分の合計額が6ヶ月ごとに振り込まれます。
流石に1日ずつの計算は厳しかったので、月ごとに(残高)×(月割利率)で月単位の利率を計算し、6ヶ分をまとめて加算、という形で計算しました。
普通預金の利息は毎日午前0時の最終残高1,000円以上について、毎年3月31日と9月30日の年2回、Web上に表示する毎日の利率によって日々計算の上組み入れます。
https://help.rakuten-bank.net/faq/show/4954?back=front%2Fcategory%3Ashow&category_id=81&page=1&site_domain=individual&sort=sort_access&sort_order=desc
結果:預け替えの勝ち
ということで、今回のシミュレーションの結果、中途解約手数料を払ってでも満期を待たずに預け替えをした方が(1,261,824-1,260,463=)1,361円得だということが分かりました。
ちなみに、満期まで積立てた場合のシミュレーションは、利息にかかる税金が計算されていないので、もう少しだけ差が開くと思います。
でもまあ、7年預けて1,361円の差ですが…
”損益分岐点”はどこだ?
今回は、満期までの残り期間まで約2年ありましたので、ここまで緻密に計算しなくても感覚的にどっちが得か、というのは分かりやすかったかもしれません。
実際、筆者も預け替えのときはざっくり勘定でやりました。
ただ、満期まで残り僅かなタイミングであれば、もう少しだけ待って満期を迎えてから預け替えをした方が良い場合もあるかもしれません。
では、その区切りはいつになるのでしょうか?
今回の条件だと仮定して、試算をしてみたところ、6年6ヶ月が分岐点になることが分かりました。
上記の計算方法で当たりをつけながら個別に試算をしていったところ、6年6ヶ月までは預け替えが得、6年6ヶ月移行(残り4ヶ月以下)の場合はそのまま満期まで待った方が得、ということのようです。
利用する財形貯蓄の利率や積立て条件、預け替え先によって多少の前後が出るかもしれませんが、ほとんどの場合、預け替えた方が金額的にはお得になりそうです。
まとめ
今回は財形貯蓄からネット銀行への預け替え、というテーマでシミュレーションをしてみました。
今回の結論は「なる早で預け替えるべし」ですが、あくまでも「最終的な受け取り金額」のみで考えた視点です。
財形貯蓄は給与天引きで貯金されるので、どうしても手元にあるとお金を使ってしまう人向けの「なかったこと貯金」などには効果があります。
家族に内緒でへそくり代わりに使っている、なんてのも聞きました。
利率は魅力にかける財形貯蓄ですが、上手く使えば良い制度になりえるので、自分の都合と相談して活用してみてください。
一方、「とにかく利率の高い方がいい」というのであれば、さっさと楽天銀行やあおぞら銀行など、利率の高い銀行で貯蓄口座を開設するのが良いでしょう。
今回の記事も皆さんのマネープランの参考になれば幸いです。
では!
リカルド
都内在住ギリ20代の会社員。社会人1年目、ほぼ貯蓄ゼロから家計管理を始め、5年目で1,000万円の資産形成に成功。学び、資産形成の過程で気づいたことを自分なりの視点で考察して発信します。資産形成を頑張る皆さんと経験や疑問、考える視点を共有したい。自称ガジェットオタ歴10年以上。好きなものはガジェットと旅行(海外18カ国、国内43都道府県)、サッカー。
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