持株会のメリット・デメリット-従業員持株制度はやるべきなのか解説-

家計・資産形成

この記事はこんな記事

  • 持株会のメリット、デメリット
  • 持株会の活用が有利なケース、不利なケース

を整理し、
「持株会って何?」「持株会ってやったほうがいいの?」
という疑問解消の一助に。

4月、新年度が始まりました。

新入社員の方、入社おめでとうございます。

早速、会社の福利厚生制度の説明などで
(従業員)持株会
というものが出てきた方も多いのではないでしょうか。
また、既に今の会社に勤めている方も新年度になって新規の募集があったかもしれません。

そんな持株会、周りからは入ることをオススメされるもののネットやSNSでは止めとけ!!という意見もあり、どうしようか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

そんな持株会、入るべきなのでしょうか、入らないべきなのでしょうか。

今回は持株会のメリットとデメリットを整理しつつ、持株会はやるべきかどうか、考えてみたいと思います。

まず、結論としては個人的にはこのように考えています。

  • 資産と収入源を同一にするリスクが高いので慎重になるべき
  • 特に社会人1年目の時期は手元の貯金を増やすことに注力したほうが良い
  • 奨励金が厚いなどメリットが大きければ限定活用はアリ

詳しく考えを整理していきます。

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従業員持株制度、持株会について

持株会」とよく言われますが、これは「従業員持株制度」という制度を運営する機関のことです。

本来、従業員は自社の株式を保有する際に制限がありますが(インサイダーのため)、持株制度を使うことで自社の株式を保有することができます。

従業員は一定額を給与天引きの形で積立て、持株会を通じて自社株を保有することができます。

(筆者作成)

東京証券取引所による「2019年度従業員持株会状況調査結果の概要について」という調査では、東証上場会社3,708社中、3,236社が従業員持株制度を導入しているとのこと。
87%の企業で導入されているということで、かなりメジャーな制度。
((株)東京証券取引所「2019年度従業員持株会状況調査結果の概要について」)

持株制度のメリット

まずは持株会のメリットを見てみましょう。
持株制度を使うことの主なメリットはこんな感じ。

いくつかは会社の持株会制度の説明などでもよく聞くところだと思います。

  • 奨励金制度がある場合、有利な株価で株を保有できる
  • 株式保有によるインカムゲイン(値上がり益)、キャピタルゲイン(配当)

奨励金制度がある

持株制度を活用する社員に対して、奨励金として会社から補助金が出るケースが多いです
これにより、奨励金の分だけ割安で株を買えますので、これが持株会をやる最大のメリットとも言えるでしょう。

奨励金がどのくらい出るかは会社によってまちまちですが、東証の調査では社員の積立額に対して4〜6%、10〜15%の奨励金が出るケースが大半のようです
中には20%以上も奨励金を出してくれる太っ腹な企業も。

社員の拠出金1,000円当たりの奨励金額の分布

(出典:(株)東京証券取引所「2019年度従業員持株会状況調査結果の概要について」)

奨励金分が出る分は実質的に買った瞬間含み益ですから奨励金が充実している会社の場合は活用を考えてみてもいいでしょう。
あとは、このプレミアムと後述のデメリットとのバランスをどう考えるか、ですね。

株式保有によるインカムゲイン、キャピタルゲイン

これは株式を保有していれば当然といえば当然ですが、自社株でもしっかりと株価上昇や配当金の恩恵をゲットできます。

自社が将来大きく成長し株価も上がるということに期待できるのであれば、キャピタルゲインを狙った活用もありだと思います。

また、配当金でお小遣いがもらえるのも魅力かもしれません。
ただし、会社によっては配当金が自動で再投資に回されて受け取れないケースもあるようなので、自社の制度はきちんと確認しましょう。

あと、値上がりや配当をわざわざ自社の株式で狙いにいくか、というところは疑問が残る点ではあります…

持株制度のデメリット

次に持株会制度の主なデメリットです。

  • 資産と収入が一本化するリスク
  • 流動性が低い

資産と収入が一本化するリスク

これは持株会を活用する場合には確実に理解しておいた方がよい面だと思います。

給与収入を勤務先の会社に依存しながら、かつ、資産の預け先もその会社に賭けることになるので、資産の行く末を会社に依存する度合いがより高くなります

もしも会社が倒産した場合には給与収入を失うことに加えて、保有している株式資産も同時に失うことになります
これは極めて大きなリスクを負っていると言えます。

投資の格言で「卵は1つのカゴに盛るな」というのは有名ですが、
個人的に持株会は「鶏と卵を同じカゴに盛っている」状態だと思っています。
カゴを落としたら卵が割れるだけでなく、卵を生んでくれる鶏まで失ってしまうのは痛手です。

持株会をやる場合でも、リスク分散の観点から積立てる金額などはよく考えた方がよいでしょう

流動性が低い

持株制度で自社株を持っている場合、次のような制約があるケースが多く、必要な時にすぐ現金化することは難しいです。

  • 単元になるまでは株式を動かせない
    →単元まで積立てられた分は証券会社の口座を作り、そちらに移管
  • 売却する際には社内手続きが必要(=売りたい時にすぐ売れない)

筆者が入社当時に持株会を始めなかったのは、この理由が1番大きかったです。

当時はまだ貯蓄もほとんどありませんでしたので、流動性の低い資産に自分の収入を流すより現金で貯蓄を作る方を優先すべきという判断から、持株会は見送りました。

特に新入社員で金融資産をこれから作っていく段階の人はこの点は気をつけた方がいいと思います。
やるとしても、多少は貯蓄ができてから開始するので十分でしょう。

また、持株会で株式を保有している限り、株式の保有名義は持株会になるため、
単元(100株)まで持株を積立てて証券会社に移管するまでは株主優待の権利も発生しないので注意が必要です。

まとめ:持株制度が有利なパターン、不利なパターン

メリットとデメリットをいくつか挙げながら整理してきましたが、
最終的に持株会をやるべきか、やらないべきか、判断基準としてはこれに尽きると思っています。

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  • 収入と資産を同じ会社に賭ける状態になるためリスクが高い
    基本姿勢は慎重になるべき
  • 流動性が低く、すぐに現金化できない
    手元の現金預金が少ない場合はまずはそっちを優先
  • 奨励金によって有利な価格で株を買えるケースがある
    →上記の点に留意しつつ、補助制度が厚ければ金額を限定して活用するのはアリ

実際、上記の考えに則り筆者は勤務先会社の持株会制度は使っていません。
おそらく、今後も活用するつもりは今のところないです。

ただ、個人的には持株会そのものを否定するつもりは全く無くて、奨励金などによって株式を市場価格より割安に買うことができるというのは大きいメリットだと思います。

しかし、筆者が入社したときもそうだったのですが、今回の記事で上げたようなデメリットは資産形成の上ではかなり重要な点ですが、持株会の説明で語られることは少ないです。
このことを知らずにいると、思ったように自分の資産形成が進まない!ということにもなってしまいますので気をつけましょう。

今回は持株会というテーマで記事を書いてみました。

新入社員の方や転職した方で新たな勤務先から持株会の説明を受けて悩んでいる方をはじめ、持株会のことで気になっていた方の参考になれば嬉しいです。

それでは!! Adiós!!

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